煉瓦と無常の南禅寺
京都、南禅寺。
蹴上駅から街道沿いに進むと、煉瓦造りのトンネルが現れる。
粟田口隧道がくぐり抜けるのはかつての鉄道跡。鉄道といっても船を運ぶインクライン。
これから訪ねる琵琶湖疎水は京都の近代化を水運などで支えたのだけど、水力発電もその一つ。
しかし、発電で船を渡せない箇所ができたために、船を運ぶ輸送手段として作られたのがこの蹴上インクライン。
この煉瓦の配置、上の部分が斜めなのは構造上の工夫なのかしら?
ねじれたトンネルは何だか、何百年も昔の世界に連れていってくれるようで。
訪れた朝は雨音静かに、凛とした空気。
そして現れるのは、再び煉瓦。
琵琶湖疎水はこの南禅寺の境内を経て、哲学の道に続き、鴨川へと注いでいく。
かつての都、京都の近代化のため、生まれた水路閣。
琵琶湖疎水、京都の庭園にも多大な影響を与えたのよね。
それはまた改めて調べてみましょうか。
歴史ある境内に西洋の最新技術を取り入れた煉瓦造りの橋を架ける。
当時は異質だったでしょう。
しかし、やがて船の往来は途絶え、インクラインは運ぶものを失う。
水路閣は褪せていく。
それでも水は流れ続ける。
不思議とこの地に溶け込んでいるように思えたのは、
この煉瓦造りの橋に無常を見たからなのかもしれない。
世界は時々信じられないほどの速度で変わってしまうけれど、
確かに在り続けるものもある。
続きます。
更新に一月かかってしまいました。こんな時ですけど、ゆっくり更新していきます。